駐車場に設置されている泡消火設備の設置基準の見直し検討について
駐車場に設置されている泡消火設備に関して、PFASを含有しない消火設備の普及を目指し、消防庁が従来の泡消火薬剤の設置基準見直しを検討しているとの事です。
見直し検討の背景として、従来の泡消火薬剤は主に水成膜消火薬剤を用いて、油火災に対し高い消火性能を発揮しますがPFASを含有しています。
従来の消火薬剤に含有しているPFASは、環境中で分解されにくく、長期間残留する為環境汚染や生態系への影響などが懸念されています。
又、水成膜消火薬剤(PFAS含有)は、たん白泡消火薬剤や合成界面活性剤泡消火薬剤に比べ、油火災に対する消火性能が高い為、放射量が最も少量となりコストが抑えられる点から、駐車場に設置されている泡消火設備の多くが水成膜消火薬剤(PFAS含有)となります。
但し、水成膜消火薬剤(PFAS含有)を他の消火薬剤に切り替える場合、水源やポンプ、原液タンクを増強するといった大規模な改修を行う必要があります。
以下は、駐車場に設置されている泡消火薬剤の主な種類と放射量の一覧です。
泡消火薬剤の種別床面積 | 1㎡あたりの放射量 |
水成膜泡消火薬剤 | 3.7L/min |
たん白泡消火薬剤 | 6.5L/min |
合成界面活性剤泡消火薬剤 | 8.0L/min |
基準の見直し案は、水成膜消火薬剤(PFAS含有)以外の消火薬剤についても、試験基準をクリアした場合は同等の放射量で設置することを認める方針が明らかになりました。
【現状】床面積1㎡辺りの放射量が合成界面8.0 L/min
【見直し案】床面積1㎡辺りの放射量が合成界面3.7L/min(予定)
詳しい内容はこちらで確認してください。https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-160/03/houkokusyo1.pdf
東京都では、都内における新たなPFOS排出リスクの低減を目的として、駐車場に設置されている固定式泡消火設備を対象として、PFOS含有泡消火薬剤を交換する際の新しいPFOS非含有泡消火薬剤の購入や撤去したPFOS含有泡消火薬剤の処理に要する費用の一部補助が受けられます。
都内の駐車場の固定式泡消火設備の内、補助の対象になるには以下の条件に該当する必要があります。
- 「PFOS含有泡消火薬剤管理台帳登録済証」又は「泡消火薬剤管理番号シール」が貼付されている事
- 薬剤交換後に「PFOS非含有泡消火薬剤交換済証」の貼付又は「泡消火薬剤管理番号シール」に新たな型式番号等を記載する事
- 交換されたPFOS含有泡消火薬剤(薬剤が溶けた水溶液等含む)の処理についてPFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項に従って処理を行う事
また、補助対象経費は
- 薬剤やフォームヘッドといった補助対象機器の購入費
- 配管の交換及び修復等の工事を除く据付費等工事費
- 配管等の洗浄に関する費用
- 撤去したPFOS含有泡消火薬剤の処理に係る費用となります。
事業の詳細や申請方法等は、以下のホームページからご確認ください。
https://www.tokyokankyo.jp/apply/pfos/